菩薩の仕事

我々の世界の話をしよう。ある一日に会った人たちの話を例にする。

一人目は、某上場会社オーナー社長。その業界では、業界再編を仕掛けるキーマン。私は直接仕事の話はほとんどしない。この時は、やはり因縁の話から始まった。因縁の相手からの要求にどんなに応えても、ああ言えばこういう状態になり、もう耐えるしかないのだなと悟ったと諦め風に語っていた。優しい方なので、自分のやり方がまずいのか?と内省されてきた。表面的な要求には答えがないとわかりつつも、他にどうしようもないからそれに応えていく。仕事についても、どこまでやっても満足はないということを既に悟っており、冷静に自分の仕事を見ている。仲間の経営者からも信望が厚い。

二人目は、まだ若手だが数十店舗の飲食店を経営し500人以上の社員を抱える社長。海外旅行し、持参した500万もの現金を置き引きされたとき、逆にすっきりしたという。仕事についても、儲かるパターンがわかってしまってからは面白くない。新店舗を出すわくわくがなくなり、逆に社内の人間関係に悩まされるという。儲かるかどうかわからない仕事をしてみたいと。

三人目は、自殺志願者のニートだったが、ジョイントがキッカケで、毎日が新鮮だと生きることに喜びを感じている若者。以前は、死ぬことばかりを考えていたから、生きようと考えが変わった時、未来に夢も希望もなかったのでどうしたらいいかが悩みだという。

四人目は、官僚の方。役所の中で、例えば機密費のような裏方の仕事をしてきた人。最初は昨今の政治事情の話だったが、因縁の娘が自分の許せないようなことばかりしてくるという話が結局一番長かった。

多種多様な人々を結びつけるのが、我々の仕事。

例えば、普通は資産を持ってる者と持たざる者とは縁がなく断絶している。接点がないのが普通だ。知り合いにはいるかもしれないが、深く関わることはない。類は友を呼ぶというように、大体は同じ経済圏と繋がっている。

そこには、「資産を持つ者の世界」と「資産を持たない者の世界」とのどうしようもない溝があるのだ。そこを循環させるのも大事な仕事だ。金があるところからないところにつなぎ、その代わり金で得られないものを返すのだ。

だから、「資産を持たない者」が金を目当てに「投資してください!」と言っても誰も投資してくれない。「資産を持つ者」に対して、「持たない者」が、「リターンは儲けだ!」と言っても、「持つ者」は興味がない。「資産を持つ者」は、金で得られないモノを求めている。

金だけでなく、想いや希望もつないで、我々の生態系が出来上がってきている。光がない世の中だからこそ、光を見せられるかどうかが問われてくる。光が見えない人はどんどん飛び込んできてほしい。

「菩薩の仕事」への3件のフィードバック

  1. 本当に仕事ってのは人と人のつながりの大事なもんだとつくずく思います。
    それも縁というべきものでしょうけど、、、しかし、その縁も偶然もあれば必然てきに作ることもできるような気がする。

  2. 資産を持つものが、リターンを求めていないというのが、面白いです。
    すると…ドラマを求めているわけですか?

  3. 以前あるお寺のお坊さんから、しのぎ〓仕事は、あくまで「悟りのキッカケでしかない」というお話をしていただいたことがあります。
    仕事があるから、きっかけがあり
    ジョイントがあるから、さらに(広い視野で)キッカケが生まれて悟りの道に繋がるのかなと思います。
    資産を持つ者から持たざる者へ、関係が生まれて、教えるものは教え、教えられる…
    尾関さん達のお仕事は本当にすごいな・・と改めて思いました。
    仕事は利益追求ですからね。
    人生の霊魂悟るためには、袋小路ですね。自己の人生を、もっと意義あるものにするため頑張りたいものです。

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