日本航空破綻に見るヒトとモノの本質

日本航空の出来事は何を意味しているだろうか?これはとても重要な信号だ。この信号が意味していることを考えてみよう。

JALは私にとっても思い入れが深い会社である。親戚、友人、知人と関係者が多数いるし、飛行機といえばJALだったのだ。

そもそも、もとは国の肝いりで作られた国策会社で、ブランド価値も高かった。テレビドラマの「スチュワーデス物語」はドラマ界の歴史に残る作品だった。最近ではCAと呼ばれているが、女性が憧れる職業になったのもこのドラマの影響が大きいだろう。

ラジオ番組の「ジェットストリーム」もとても好きな番組で、ナレーターの声と定番の音楽は耳に残り忘れられない。旅への気持を掻き立てられたものだ。

ビートルズが来日した時に着用していた、JALのロゴ付きハッピを着ている姿は何度も放映されている。

とてもブランド力のある会社だし、実際就職ランキングでも数年前まで一位だった。長年の人気企業ゆえ、優秀な人材も揃っており、数年前のJASとの合併で更に力が増すのではないかと思われていた。

そして日本の富豪のベストテンに入るであろう、投資家糸山氏が勝算もなしにあれほど投資するだろうか?誰よりもよく調べて、価値があると踏んだから投資したはずだ。

ほんの一年前まで、一般の人は誰も今の現状を予測できたものはいないだろう。

もっとも5年ほど前から、警告を発していた人もいるが、危険かもしれないがJALだから大丈夫だろうと誰もが高をくくっていたのだ。

ところが、去年くらいから、まるでタイミングを合わせたかのように映画「沈まぬ太陽」が公開され、この会社は問題なのではないか?という機運が高まった。そして、現在JALはすでに1兆円近い債務超過に陥っており、会社更生法が適用された。実質の破産。1兆円の債務超過など、幼稚園生が経営してもそこまではないだろう。

人間とはそういうものだ。ここで面白い例え話がある。
「茹で蛙」と「逃げ鼠」

■茹で蛙とは、カエルをいきなり鍋の熱湯に入れると火傷はするだろうが、必ず飛んで逃げ出す。しかし、常温の鍋にカエルを入れ、だんだんと温度を上げていくとカエルは逃げずに、茹であがって死んでしまう。

この例えは、カエル=大衆であり、水の温度=景気である。だんだんと悪化していく景気に大衆は反応することができずに死んでしまう。

■逃げ鼠とは、鼠が敵から逃げるときに、周りのネズミも一斉に逃げ出す。そして、前に走るネズミの後姿しか見えずに走り続け、前のネズミが消えたと思ったら、自分も谷底に落ちている。

この例えは、鼠=大衆であり、敵=バブルである。大衆はみんなが走る方向に走り、いつの間にかみんなで谷底に落ちている。

JALの話は、時代の転換を説明するのに根拠ある証拠であり、これほど今の日本という国、そこに安住する人間の本質を表している例えはない。

私には、一気に追い込まれた、太陽のロゴマークを付けたJALの行方と日本の行方がダブって見える。これは日本の将来を示した信号だろう。日本航空=日本国なのだ。

日本も同じように、価値があり大丈夫だと思っているけど、一気に追い込まれるだろう。株価の推移をみれば、価値なんてものは相対的なものだと否が応でもわかる。わずかの間に、200円が60円になり2円になる。お金の価値もそんなもんだ。

しかし、だからといって悲観することはない。世の中はよく出来ていて、器が備わってない場合は取り上げられて、器がある人に移っていくものだ。

芸術品が良い例だ。古代よりの価値ある資産は、長年その価値を守れる人を伝わって残ってきた。価値のないものは時代によって淘汰され、価値あるモノだけが残っていく。どんな富豪が所有していても、それは一時的に借りているのと同じだ。

必要な人が必要な時に借りられる(所有する)ようになっている。

皇居を見てみよう。今では誰も江戸城だとは思わない。徳川家の城であったことは知っているだろうが、江戸城とは呼ばないし、思いもしない。完全に天皇とイメージは一体化している。

まるで今では、天皇のために徳川家が作っておいたかのようだ。JALもJALが似合う人の手に渡るか、もしくは淘汰されることになる。

真に価値あるものだけが歴史の重みに耐えるのだ。

「日本航空破綻に見るヒトとモノの本質」への1件のフィードバック

  1. ローマ帝国では美食を更に食する為、吐きながらまた食した。
    また、男が耳に穴をあける時代、生殖をともわない幼女、男色が公に始まると文明の終焉の序曲と読んだ記憶が有ります。
    テレビの国会中継で、日本の将来を討論している国会議員の方々の姿は、国民に未来へ希望を感じられるとは思えません。
    物やお金は大切ですが道具にて、使う方の器で価値が変化すると思います。
    今の時代を懸命に支えながら、次の時代を子供達に託すように願っています。
    田舎からの発信は微力ですが、無力ではないと信じています。
    先日の尾関様とのご縁に感謝してコメント差し上げます。

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