テンペスト

本に久しぶりに熱中しました。寝るのを忘れるほどです。
これは面白い。傑作の小説です。個性豊かな登場人物と
琉球王朝末期の時代舞台が、読む者を魅了するでしょう。
話の合間に、琉歌がでてくるのですが、私が気に入った
歌をご紹介します。

「厚きお恵みや報るかたないらぬ
      朝夕さも千代のお願しやべら」
(国土の厚いお恵みには報いる方法もない。ただ国土が千代までお栄えに
なるように朝夕お祈りいたすばかりです)

我々がいまあるのは、自然のお陰です。いま、周囲にある人工物は、
将来へ残す価値が果たしてあるのかと嘆きたくなります。

「風の声たぼれ西の太陽拝め
         立ちすゆる今や夢やあらに」
(風の声を聞きなさい。沈み行く夕日をご覧なさい。
今私たちがいる場所が束の間の夢のようではありませんか)

いまこの瞬間に存在する奇跡を、改めて感じさせてくれます。
二度とない、すべてが一期一会。時間を止めたくなります。

「このつらさしゆすもにやへもをらやすが
         どくつらさあれば一人ともて」
(ぼくだけが辛い思いをするわけではないのに、
あまりにも辛いので自分だけが苦しい目に遭っていると
思ってしまう。人は勝手なものだ)

今は感じませんが、こう感じたことが何度もあるなーと。
泣いて、笑って、切なくなって、そして最後は人生を思い切り
生きようという気にさせてくるでしょう。お勧めです。
一つだけ、自分の心に刺さる一文がありました。
自戒をこめて記します。
「琉球を愛し、友情を深め、想い出をたくさん持つものほど、
やがて琉球を操ろうとする」
愛は盲目となりませぬように。
ちなみに、池上氏のほかの本もお勧めです。以前読んだ、
「バガージマヌパナス」も最高でした。
テンペスト  上 若夏の巻
テンペスト 上 若夏の巻
池上 永一
テンペスト 下 花風の巻
テンペスト 下 花風の巻
池上 永一
バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
バガージマヌパナス―わが島のはなし (文春文庫)
池上 永一

「テンペスト」への3件のフィードバック

  1. 興味深い本ですね!
    「操ろう」とするのは愛するがゆえ、よりいい方にもっていきたくて執着してしまうから、時に無意識に、
    起こってしまうのでしょうね。
    琉球に限らず、全てのことに対して、謙虚さを忘れずに付き合いたいと思いました。

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